布団に籠城を決め込むサナを前にして、オレは頭の後ろをかいた。ミクにたいしてやきもちを妬いているのかもしれないが、それを指摘するのもどうなんだろうかと思う。

「サナ、ミクとは本当になんでもないんだ、これぽっちも恋愛感情なんてない」

そう言って布団をはぐろうとしたが、サナも必死の抵抗をみせる。あの細腕のどこにこんなバカヂカラがあるのかと思うくらいびくともしない。

しかし、体を急に動かした為か、アルコールが体内を急速にまわり、オレは吐き気を催し、サナのご機嫌とりをそっちのけで、トイレに駆けこんだ。吐いてる最中にサナは布団から出たようで、便器にしがみつくオレの背に文句を言った。

「また、いつも大事な時に吐くんだから!」

そう言いながらもサナは心配そうな顔でオレを見守り、手にはタオルを持っていた。その姿を見ると、憎めないし、勝てないと、オレは思った。