沈黙をうちやぶったのは、店主だった。店主は時計を確認すると、閉店だと告げた。時計を見ると、五時半をまわろうとしていた。
この店の閉店時間が五時なので、店主は三十分ほど、オレ達のために気を遣い残業していたことになる。店主が空いたグラスを見て、次の注文をとらなかったのは、これ以上の残業はしないという、意思表示だったのだろう。
オレは素早く会計をすませるとミクに肩を貸して店内を後にした。ミクに肩を貸したのは、ミクが想像以上に酔っぱらっていたためである。
外に出ると辺りはすっかり明るくなっていた。朝の歓楽街は一見するとスラム街のようにも見える。見渡す限り人の気配がしない。目立つ物はゴミ袋にそれを漁るカラスの群れである。夜と朝でここまで風景が変わるのも歓楽街ゆえかもしれない。
この店の閉店時間が五時なので、店主は三十分ほど、オレ達のために気を遣い残業していたことになる。店主が空いたグラスを見て、次の注文をとらなかったのは、これ以上の残業はしないという、意思表示だったのだろう。
オレは素早く会計をすませるとミクに肩を貸して店内を後にした。ミクに肩を貸したのは、ミクが想像以上に酔っぱらっていたためである。
外に出ると辺りはすっかり明るくなっていた。朝の歓楽街は一見するとスラム街のようにも見える。見渡す限り人の気配がしない。目立つ物はゴミ袋にそれを漁るカラスの群れである。夜と朝でここまで風景が変わるのも歓楽街ゆえかもしれない。