店から徒歩二十分で家に着く。サナは直ぐ隣りを歩いている。目的地についてオレはサナをみる。

「ここだよ」と、オレはいった。

サナは目の前の建物を見上げるも、表情一つ変わらない。今からよく知らない男の家に入ろうというのに。こういう事に慣れているのかと思った。よくある家出少女のニュースが頭をよぎった。正直に言うと家までは来ないだろうと踏んでいた。

オレでさえ、素性の知れない女の子を家に入れるのは、躊躇する。おとなしい顔してるのに見た目ではわからないということかと思った。六階建ての普通のワンルームマンションを見ながらサナは聞いた。

「何階?」

「六階」

オレはこたえ、エレベーターのボタンを押した。