☆☆☆

翌日、


「顔色がよくない」


修哉はそう言って、桜子の舌を指先でつまんだ。


「熱もある」


その指先を熱測定器にかざして温度を測った。


桜子はポワポワと夢の中を漂っているような感覚の中、その様子を目で追う。


「昨日シャワーなんか浴びるからだぞ。水神様が熱を持ってきたんだ」


「そんなことない。 水神様は何かを奪っていくのよ」


思いっきり否定してやろうと思ったのに、声がかれて大きな声なんて出なかった。


「しばらくは休養シェルターの中にいるんだな」


修哉はそう言ってベッドの横についている赤いボタンを押した。


「待って、嫌よ。眠りたくなんかないの」


また祭りの夢を見てしまうかもしれない。


それか水神様の夢。