タヌキやキツネが変化するのと同じように、社会へと紛れ込んだ。


そして、自分が水神様であることさえ忘れ、生きていく――。


「そして、おばあさんによく似ているという、私もきっと……」


祭りが怖いんじゃない。


祭りと聞いて本当の自分を取り戻そうとしていたんだ。


《あなたは何かを忘れてはいませんか?》


あの手紙も。


おばあさんとおじいさんの写真も。


そして、この写真も。


本当の私へと繋がるものだ――。


「この写真の中にいるのは、私です」


修哉とおじいさんに、手の中の写真を見せる。


古びてこそいるが、そこにうつっているのは間違いなく桜子だった。