☆☆☆

「どうした? 平気か?」


そう言いながら揺さぶり起こしてくれたのはおじいさんだった。


目を開けると、視界がぼんやりと滲んでいる。


「なんだか、とても悲しい夢を見た気がする……」


「だから泣いてたんだな」


言われて初めて自分が泣いていることに気がつく。


頬の涙をぬぐうと、おじいさんが手の甲をさすってくれる。


そうされていると落ち着くようだった。


「おばあさんも、眠れない夜にこうして手の甲をさすると落ち着いて眠れるようになったんだよ」


「私、おばあさんにすごくよく似てるのね」


「あぁ、そうだよ」


今度は悲しい夢を見ませんように。


そう呟きながら、桜子は再び眠りについたのだった。