「いいよいいよ。今日は祭りなんだから楽しんでおいで」


焦って巾着の中を必死で探す桜子に、おじさんは笑顔を向けた。


「ありがとう、おじさん!」


キラキラ光る林檎飴を食べながら、再び桜子は歩き出す。


甘い飴が口いっぱいに広がって、幸せな気分になってくる。


ついつい頬が緩み、1人でクスクスと笑い始めた。


楽しい。


お祭りって楽しいし、林檎飴ってとてもおいしい。


どうしてこれが戦争なのだろう。


どうしてこれが恐怖なのだろう。


祭りの中にいると、祭り戦争のことなんて忘れてしまいそうになる。