おばあさんの写真が届いた日、桜子は再び祭りの夢を見ていた。


それはいつもと少しだけ違う夢で、いつもの桜子よりもずいぶんと視界が低かった。


歩くとコンクリートに履物が当ってカランコロンと涼しげな音を立てるし、着ているものはお腹のあたりが窮屈だ。


祭りの中にいるというのに恐怖心はなく、出店をひとつひとつ覗いてみては歓声をあげる。


今日が祭りであることが当たり前のように感じ、いつしか桜子は右手に綿飴、左手には水風船を持っていた。


遠くから聞こえてくる笛や太鼓の音も心地よく響いて聞こえ、ダンジリの明かりを目指して歩き出す。


「わぁ……!」


光に反射して輝く林檎飴がすごく綺麗で、桜子は子供のような声を上げ、目を輝かせた。


「林檎飴、1つちょうだい」


手持ちも確認せずにそう言うと、おじさんに大きな林檎飴を受け取ってから、お金が足りない事に気がついた。