「あぁ」


「じゃぁ次はおじいさんに言ってあげて? 私は最後でいいから」


「あぁ、もう言ってきた」


「え?」


じゃぁ何の用事?


そう聞こうとしたとき、修哉はスルリと部屋に入り後ろ手にカギを閉めた。


そして、まるでいたずらっ子のように微笑む。


ギュッと後ろから抱きしめられると、シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐる。


いい事があると修哉は私を抱きたがる。


眠りそうになる私へ向けて、幸せは半分こにしたいから。


と言っていた事を思い出す。


いくら時代が変わっても。


いくら技術が進歩しても。


人間同士の愛し方は変わらない。


それはとても不思議で、だけどとても自然なことに思える。


修哉が服を脱がし吐息が耳元にかかっても、桜子は心の中に封の開けていない手紙を持っていた。


2人が愛し合う傍らで、あの手紙は何を思うのだろうかと――。