「うん、いいよ」


そう言うと、入れ物に入っていた金魚たちは次から次へと宙を舞い、水しぶきを上げながら彼女の浴衣へ入っていく。


「わぁ、綺麗」


浴衣の柄になって小さな金魚たちが心地よさそうに泳ぐのを見て思わずそう呟く。


「そうでしょう? お祭りって楽しいのよ」


「楽しい……」


ドクンッと心臓が大きくはねた。


手に汗をかいて落ち着かない。


ゾワッと首筋に鳥肌が立ち、桜子は自分の体を両手で抱きしめた。


怖い怖い怖いよぅ。


お祭り怖いよぅ。


浴衣の中の金魚がこちらを見た。


え? 私?


その顔は間違いなく桜子そのもので……。