その質問に女の子は答えず、桜子から網を受け取りそっと水槽の中につけた。


「あ、金魚!!」


ようやく水槽に泳ぐ金魚に気づき、歓声を上げる。


沢山の金魚たちが思い思いに泳いでいる姿はとても幻想的に見えた。


でも、こんなに沢山水を使ってしまって、水神様は怒らないのかしら?


「金魚は生き物だから。生き物に使う水なら怒らないよ」


女の子が桜子の不安を見抜いたように言う。


「そっか、ならいいの」


そんな事を言っているそばから、女の子は次から次へと金魚をすくう。


小さな入れ物はあっという間に金魚で埋め尽くされていて、少し窮屈そうに見えた。


「あ~あ破れちゃった」


それからしばらくするとようやく紙が破れて、ヒョットコは安心したように息をついた。


「袋が小さすぎてかわいそうだ。お譲ちゃんの浴衣に入れてやってくれねぇか」