「おい、平気か?」


「大丈夫よ、ドクターのくれた薬が効いてるだけ」


「せめてソファに横になれよ。ほら」


手を貸してもらいながらも半ば引きずられるようにしてソファへうつる。


「なにか悩み事?」


「えぇ……ちょっと」


眠るという事に恐怖を抱いているのに、また私は眠りの世界へ引き込まれる。


修哉の手が優しく頭を撫でて、それがまた現実世界から意識を遠ざける。


「食事の準備はしておくから、ゆっくり眠るといいよ」


その言葉の返事は、もう出来なかった――。