自分自身に納得させるように何度も何度も「怖い怖い」と呟いてみる。


だけど桜子は知っていた。


祭り戦争という物が大昔の頃はただの《祭り》と呼ばれていたことを。


《祭り》の日には街中の人が浮き足立ち、そわそわと落ち着かなくなる。


若い女は浴衣と呼ばれる妙な布切れに袖を通し、若い男は出店と呼ばれる店で色んな食べ物を焼いたりする。


伝統ある《祭り》は日本全国で知られていて、日本全国から人が集まってくる。


なんでそんなものに人が集まるのか、桜子は全くもって理解できない。


「怖い怖い」


また呟き、シャワーを止めた。


祭り戦争とはその《祭り》が変化したものだと言われている。


《祭り》に魂を燃やす者たちの力が現代にも息づき、祭り戦争として姿を蘇らせたのだとか。