そっと自分額に手を当てる。


これは幼い頃からの自分のクセである。


熱が出ると、なぜかしら額に手を当ててしまう。


あ――…。


古い記憶がほんの一瞬顔を覗かせる。


が、それが何であるかを理解する前にすぐに引っ込んでしまった。


「もうっ!」


桜子は思い出さない自分にイライラし、枕を壁に投げつけたのだった。