桜子は自分が泳げるハズがないという事さえ忘れ、夢中になってヨーヨーの後を追った。


不思議な事に一緒に泳げば泳ぐほど、ただのゴム切れは色とりどりの魚たちに見えてくる。


これ、これ気持ち、なんて言うのかしら?


家の中から一歩もでなくても仕事も運動もできる。


ロボットたちが作った最新の映画だって、オシャレだって、家にいるだけでできてしまう。


そして、同じ生活の繰り返し。


それが快適なのだと思っていた。


でも、こんなに心臓がはねる出来事なんて、知らない。


「たの……しい?」


楽しい。


辞書で読んだ言葉。


楽しい。