「時々佳奈の話もしてたのよ。ずっと親のそばにいてくれる優しい樹くんと違って、2、3年に1回くらいしか帰ってこない親不孝娘だ、ってね」

「あーはいはい。そりゃあどうもスミマセンね」


元カノの親からそんなことを聞かされても返事に困るだろうに。幼なじみの私に対しては先ほどのような意地悪を言うこともあったけれど、基本的に人の好い樹だ。きっと母の話にいつもにこにこと付き合っていたのだろう。

あまり帰省していなかった理由が『樹に会いたくないから』だと知ったら、母は呆れるだろうか。


「樹くんが駄目なら、そっちで誰かいい人いないの?」


駄目と言う訳ではない。むしろ引きずっているのは私の方だ。喉元まで出かかった言葉を飲み込み、ムスッとしたまま答える。


「……いない」

「会社にも?」

「いないよ」

「お母さんの知り合いで同じくらいの息子さんがいる人がいるの。紹介してもらおうか?」

「いいってば」


帰省する度に幾度となく繰り返される不毛な親子の会話だ。私は、この話題が早く終わってくれるようにと願いながら、ただひたすら目の前の甘いスイカを食べることだけに集中した。