◆◇◆◇
葵が食事を済ませてから、三人は外に出て庭へと入った。
母親は一度物置へ引っ込むと、そこからスコップを探し出して、葵と陽太へそれぞれ渡した。
「まだあったはずなんだけど、仕方ないわね。ふたりで植えるといいわ」
「うん」
「分かった!」
葵と陽太は同時に頷くと、花壇の空いている場所へ移動し、そこにしゃがみ込んでスコップで小さな穴を横並びに掘っていった。
そこへ陽太が持参したヒマワリの種を一粒ずつ置き、上から優しく土を被せた。
「さ、水を撒くわよ」
母親はいつの間にか用意していたじょうろを使い、土の上から霧雨のような水をかけてゆく。
「よし! こんな感じでいいでしょう!」
水をあらかたかけ終わると、ついでだから、と言いながら他の植物にも水を与えていた。
(ずっとウチにいるこの子達よりも、新参者のヒマワリを最優先させちゃうってどうなんだろ……?)
つい、葵は他の植物達に同情してしまった。
「ねえねえ葵ちゃん!」
葵の思いとは裏腹に、陽太は無邪気な笑顔で頬杖を突いている。
「夏休みに入ったら、ここはヒマワリでいっぱいになるんだよね? 楽しみだねえ! 早く夏休みがくるといいなあ」
ヒマワリの種が植えられた土を、陽太は幸せそうに見つめていた。
そんな顔を見ていると、葵も釣られて口元に笑みが浮かんでくる。
「そうだね、あたしも夏休みが楽しみだよ」
自然と、葵はそう口にしていた。
葵が食事を済ませてから、三人は外に出て庭へと入った。
母親は一度物置へ引っ込むと、そこからスコップを探し出して、葵と陽太へそれぞれ渡した。
「まだあったはずなんだけど、仕方ないわね。ふたりで植えるといいわ」
「うん」
「分かった!」
葵と陽太は同時に頷くと、花壇の空いている場所へ移動し、そこにしゃがみ込んでスコップで小さな穴を横並びに掘っていった。
そこへ陽太が持参したヒマワリの種を一粒ずつ置き、上から優しく土を被せた。
「さ、水を撒くわよ」
母親はいつの間にか用意していたじょうろを使い、土の上から霧雨のような水をかけてゆく。
「よし! こんな感じでいいでしょう!」
水をあらかたかけ終わると、ついでだから、と言いながら他の植物にも水を与えていた。
(ずっとウチにいるこの子達よりも、新参者のヒマワリを最優先させちゃうってどうなんだろ……?)
つい、葵は他の植物達に同情してしまった。
「ねえねえ葵ちゃん!」
葵の思いとは裏腹に、陽太は無邪気な笑顔で頬杖を突いている。
「夏休みに入ったら、ここはヒマワリでいっぱいになるんだよね? 楽しみだねえ! 早く夏休みがくるといいなあ」
ヒマワリの種が植えられた土を、陽太は幸せそうに見つめていた。
そんな顔を見ていると、葵も釣られて口元に笑みが浮かんでくる。
「そうだね、あたしも夏休みが楽しみだよ」
自然と、葵はそう口にしていた。