手紙を読み終えるか終えないかのうちに、葵の瞳から幾筋もの透明な雫が零れ落ちた。

「……んとに……バカ……っ……」

 葵は手紙をクシャクシャに握り締めながら、嗚咽を漏らし続けた。

 ずっと一緒にいたのに、今、初めて知った陽太の本心。
 嬉しさよりも、戸惑いと言いようのない悔しさで胸が詰まりそうだった。

 同時に、葵は自分の気持ちにも気付いてしまった。
 だが、陽太に伝える事は出来ないだろう。

(もっと……、私も早くに分かってたら……)

 葵の中では、ただ、後悔だけが心を支配し続けていた。