夏休みが終わって間もなく、葵は母親の口から衝撃的なことを聴いてしまった。
「陽太……、いなくなるの……?」
葵の問いに、母親は哀しげに笑んだ。
「うん、西山さんの旦那さん――ハル君のお父さんのお仕事の都合でね。ハル君のお父さん、ひとりで離れて暮らすかどうかで悩んだらしいけど、転勤先が自然の多い場所らしいから。
ほら、ハル君は身体が弱いでしょ? だから、少しでも空気の綺麗な場所の方がハル君のためにもいいんじゃないか、って」
母親の話を聴いても、葵は何も言葉が出てこなかった。
ヒマワリが咲いた日に言っていた陽太の台詞。
陽太はあの時、遠回しにではあったが、葵に別れを告げていたのだ。
ヒマワリを一緒に見ることはこれからないかもしれない。
だから今のうちに、葵との想い出をひとつでも多く作っておこう。
陽太はきっと、そう思っていたに違いない。
(ほんと、バカだよね……)
葵は陽太の無邪気な笑顔を、恨めしい気持ちで想い浮かべていた。
「陽太……、いなくなるの……?」
葵の問いに、母親は哀しげに笑んだ。
「うん、西山さんの旦那さん――ハル君のお父さんのお仕事の都合でね。ハル君のお父さん、ひとりで離れて暮らすかどうかで悩んだらしいけど、転勤先が自然の多い場所らしいから。
ほら、ハル君は身体が弱いでしょ? だから、少しでも空気の綺麗な場所の方がハル君のためにもいいんじゃないか、って」
母親の話を聴いても、葵は何も言葉が出てこなかった。
ヒマワリが咲いた日に言っていた陽太の台詞。
陽太はあの時、遠回しにではあったが、葵に別れを告げていたのだ。
ヒマワリを一緒に見ることはこれからないかもしれない。
だから今のうちに、葵との想い出をひとつでも多く作っておこう。
陽太はきっと、そう思っていたに違いない。
(ほんと、バカだよね……)
葵は陽太の無邪気な笑顔を、恨めしい気持ちで想い浮かべていた。