「じゃ、撮るわよー! あ、葵ちゃん! 顔が固いわよ! リラックスリラックス!」
(そんなこと言われたってえ……)
カメラを前に、葵はいつになく弱気になっている。
もう、絶対にイヤだ! と思っていたのだが――
「葵ちゃん」
隣の陽太が優しく声をかけてきた。
「葵ちゃんはイヤかもしれないけど、これは冗談じゃなくほんとに想い出なの。だから、今日だけは我慢してよ、ね?」
「う、うん……。分かった」
葵が答えると、陽太は嬉しそうに大きく頷いて彼女の手をそっと握った。
葵の鼓動が、トクトクと脈打った。
手を繋ぐのは初めてではないし、こんな気持ちになることもなかった。
なのに、今は違う。
言葉では上手く言い表せないが、何か特別なものが手を通じて伝わってくる。
「さあ! 今度こそ撮るわよ!」
陽太母は再びカメラを構えると、「イチたすイチはー?」とベタな合言葉を口にした。
葵と陽太は「せえの!」と呼吸を揃える。
「ニー!」
同時に答えると、陽太母はタイミングよくシャッターを切る。
「あらっ! ふたりとも可愛いじゃないのー!」
「うんうん! 最高の笑顔だわ!」
二人の母親は、デジカメの画面を見ながらはしゃいでいる。
「じゃ、せっかくだからもう一回撮っちゃおう! ちょっとポーズを変えてみよっか!」
陽太母はすっかり調子付いている。
それは葵母も同じで、今度はふたりの所へ来て、立ち位置の指導に入ったほどだった。
「こんな感じでどうですか?」
大まかに位置を決めた葵母は、陽太母に確認していた。
「あ、いいじゃないですか! よし! では次はそれで撮りましょう!」
陽太母はもう一度カメラを構え、先ほどと同様にベタな合言葉を言った。
それを何度も繰り返されるうちに、葵もさすがに慣れてきた。
最初は笑顔にぎこちなさがあったが、そのうち、カメラを前にしても自然に笑えるようになっていた。
(そんなこと言われたってえ……)
カメラを前に、葵はいつになく弱気になっている。
もう、絶対にイヤだ! と思っていたのだが――
「葵ちゃん」
隣の陽太が優しく声をかけてきた。
「葵ちゃんはイヤかもしれないけど、これは冗談じゃなくほんとに想い出なの。だから、今日だけは我慢してよ、ね?」
「う、うん……。分かった」
葵が答えると、陽太は嬉しそうに大きく頷いて彼女の手をそっと握った。
葵の鼓動が、トクトクと脈打った。
手を繋ぐのは初めてではないし、こんな気持ちになることもなかった。
なのに、今は違う。
言葉では上手く言い表せないが、何か特別なものが手を通じて伝わってくる。
「さあ! 今度こそ撮るわよ!」
陽太母は再びカメラを構えると、「イチたすイチはー?」とベタな合言葉を口にした。
葵と陽太は「せえの!」と呼吸を揃える。
「ニー!」
同時に答えると、陽太母はタイミングよくシャッターを切る。
「あらっ! ふたりとも可愛いじゃないのー!」
「うんうん! 最高の笑顔だわ!」
二人の母親は、デジカメの画面を見ながらはしゃいでいる。
「じゃ、せっかくだからもう一回撮っちゃおう! ちょっとポーズを変えてみよっか!」
陽太母はすっかり調子付いている。
それは葵母も同じで、今度はふたりの所へ来て、立ち位置の指導に入ったほどだった。
「こんな感じでどうですか?」
大まかに位置を決めた葵母は、陽太母に確認していた。
「あ、いいじゃないですか! よし! では次はそれで撮りましょう!」
陽太母はもう一度カメラを構え、先ほどと同様にベタな合言葉を言った。
それを何度も繰り返されるうちに、葵もさすがに慣れてきた。
最初は笑顔にぎこちなさがあったが、そのうち、カメラを前にしても自然に笑えるようになっていた。