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 数日後、陽太の予想通り、ヒマワリは一斉に花を咲かせていた。

「わあ! 咲いた咲いたー!」

 陽太は花を見るなり、飛び上がって喜びを表現していた。

「それじゃ、早速写真を撮ってもらおう! 葵ちゃん、お母さんを呼んで来るから待っててねー!」

「えっ……! ま、まっ……!」

 引き留める間もなく、陽太は意気揚々とスキップしながらその場を離れてしまった。

「もう……」

 葵は溜め息をひとつ吐くと、陽太の背中に向かって叫んだ。

「陽太ー! あんまり走っちゃダメだよー!」

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 しばらくして、陽太は自分の母親を伴って戻って来た。

 陽太母の手には、シルバーの小さなデジタルカメラが握られている。

「あらあ! 立派に咲かせたわねえ」

 陽太母はヒマワリを目にするなり、感嘆の声を上げた。そして、今度は葵に視線を向けてきた。

「葵ちゃん、ウチの子のわがままに付き合わせちゃってごめんね。まさか、沢木さんちで種を植えてたなんて、全然知らなかったわ」

 申しわけなさそうにしている陽太母に対し、葵は「ううん」と首を振った。

「私も育てるのとっても楽しかったから。それに、お母さんもかなり乗り気だったしね」

 葵の言葉に嘘偽りはいっさいない。
 最初は確かに父親への懸念もあって渋りはしたものの、最終的には育てるのが楽しくて仕方なくなっていたのだ。