時は過ぎ、葵達の小学校は長い夏休みへと入った。
小学校生活最後の夏休みだし、今年は葵の家の庭に植えたヒマワリも見られる。
種を植えたあと、母親は父親に話をしたそうだが、案の定、勝手に植えたことに対して渋い表情を見せたそうだ。
しかし、そこで母親が子供達の喜ぶ顔が見たいからと即座に説得に入り、最終的には仕方ないとばかりに納得してくれたようだった。
陽太は毎日欠かさず葵の家を訪れた。
葵と共に水を撒き、「早く咲け咲け」とまるで呪文でも唱えるようにヒマワリに話しかける。
その甲斐あってか、ヒマワリは葵や陽太の身長も優に超すほど成長を遂げた。
黄色い大輪の花を満開にさせる日も、もうそこまで迫っている。
「明日になったら咲いてるかなあ?」
陽太はヒマワリを見上げながら言った。
「僕、花が咲くのをすっごく楽しみにしてたから! 花が咲いたら、お母さんに頼んで葵ちゃんと一緒に写真を撮ってもらおうと思ってるんだ!」
「写真かあ……」
陽太の言葉に、葵は眉根を寄せた。
「あたし、写真映りがチョー悪いからなあ……。それに、陽太と並ぶともっと酷さが増しちゃうもん……」
「え? 別に葵ちゃん写真映りは悪くないでしょ? それに、どうして僕がいるとダメなの?」
「――それは一生、陽太には分かんないことだよ……」
「ふうん……」
陽太は怪訝そうに首を捻っていたが、すぐに興味を失ったのか、またいつものように呪文を唱え出した。
(ほんとに女の子よりも可愛いんだから……。腹立つなあ……)
唇をツンと尖らせながら、葵はしばらく陽太の横顔を睨み続けた。
小学校生活最後の夏休みだし、今年は葵の家の庭に植えたヒマワリも見られる。
種を植えたあと、母親は父親に話をしたそうだが、案の定、勝手に植えたことに対して渋い表情を見せたそうだ。
しかし、そこで母親が子供達の喜ぶ顔が見たいからと即座に説得に入り、最終的には仕方ないとばかりに納得してくれたようだった。
陽太は毎日欠かさず葵の家を訪れた。
葵と共に水を撒き、「早く咲け咲け」とまるで呪文でも唱えるようにヒマワリに話しかける。
その甲斐あってか、ヒマワリは葵や陽太の身長も優に超すほど成長を遂げた。
黄色い大輪の花を満開にさせる日も、もうそこまで迫っている。
「明日になったら咲いてるかなあ?」
陽太はヒマワリを見上げながら言った。
「僕、花が咲くのをすっごく楽しみにしてたから! 花が咲いたら、お母さんに頼んで葵ちゃんと一緒に写真を撮ってもらおうと思ってるんだ!」
「写真かあ……」
陽太の言葉に、葵は眉根を寄せた。
「あたし、写真映りがチョー悪いからなあ……。それに、陽太と並ぶともっと酷さが増しちゃうもん……」
「え? 別に葵ちゃん写真映りは悪くないでしょ? それに、どうして僕がいるとダメなの?」
「――それは一生、陽太には分かんないことだよ……」
「ふうん……」
陽太は怪訝そうに首を捻っていたが、すぐに興味を失ったのか、またいつものように呪文を唱え出した。
(ほんとに女の子よりも可愛いんだから……。腹立つなあ……)
唇をツンと尖らせながら、葵はしばらく陽太の横顔を睨み続けた。