エミリアのディアナアプリで、討伐ポイントを確認したヤスは、自分がやってしまった事にようやく気がついた。
ポイントが、80万ほどになっていたのだ。ゴールデンスカラベを100体ほど倒していたのだ。時間にして、3時間・・・。繰り返していたのだ。
当初は自分の魔力を使ってゴールデンスカラベを出現させて討伐していたのだが、討伐ポイントが魔力ポイントに変換できることを知ったヤスは、ゴールデンスカラベを倒して得た討伐ポイントを魔力ポイントに変換して、ゴールデンスカラベを出したのだ。ヤス自身の魔力を使うよりも効率は落ちるのだが、討伐ポイントが楽に増える方法として実行していたのだ。
足元に転がった2cm四方程度の”金”も拾わないで居たので、”金”もかなり溜まっていた。
「マルス。この金・・・。ギルドで換金したら駄目だよな?」
『神殿で見つけた事にすれば問題ありません』
「お!それなら拾っておくか!」
全部で、29枚の金片を拾う事ができた。
(さて、金も手に入った事だし、ディアナオプションでも作ろうかな)
ヤスは、ディアナアプリを起動した。
まずは、獲得した討伐ポイントで何ができるのかを確認してみる事にしたようだ。
--- ヤスの思考 ---
おいおい
乗用車のラインナップが偏っている。ラリーカーで、ヤリスが掲載されているけど・・・ぉ!CIVIC Type-R のラリー仕様車?
駄目だ。高くて買えない。車は、買えそうにないな。ディアナのオプションも、1-2千万のポイントが必要になる。ドライブレコーダーとかなら安いけど、現状で必要ではないからな。
バイク?
モンキー125<ABS>が、43万ポイントで購入できる。色も選べるし、オプションも選べるようだな。
モンキーの色は、赤色一択!自動運転は・・・。高いな。60万ポイントも必要になる。ナビが、10万ポイントだけど・・・。必要か?
「エミリア」
『はい。マスター』
「例えば、フェレンの森に入って、エミリアにナビを頼むような事は可能か?」
『できます』
それなら、ナビは必要ないな。
ノーパンクタイヤにして、サスペンションを交換して、ライトを強化して・・・。おっ!結界とかあるのか、安・・・1000ポイントで付けられるようだ。結界の種類が複数あるな。物理結界と魔法結界か、2つとも必要だな。2つ同時につけられそうだな。
魔法媒体?あぁモンキーから魔法を打つことができるのか?安いから付けておくか?
いろいろオプションを付けていくと、60万ポイント位になってしまったな。
えぇぇい度胸だ!駄目だったら、またゴールデンスカラベを殺しまくればいい。
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ヤスは、自分にいろいろ言い訳をしながら、日本に居たときにニュースで知ってから欲しかったモンキー125を購入した。
もちろん、使い途を考えたわけではない。自分が欲しかったただそれだけの理由で購入したのだ。
そのために、討伐ポイントの残りは20万を切ってしまっている。
『マスター。残りの討伐ポイントで、神殿の補強を行うことを推奨いたします』
マルスからの問いかけまで、ヤスは神殿の事を完全に忘れていた。
「そっそうだな。頼む。俺の寝所とかも作れるのか?」
『問題ありません』
「頼む」
『了』
神殿の事とか、ダーホスの事とか、一切合切忘れて、ヤスはディアナアプリを操作した。
購入したモンキーに乗るためだ。
ガレージという名前のタグが増えている。管理する車体が複数になったので出てきたのだろう。
購入したモンキーをタップすると、”初回出現時間:7分”と表示される。迷うこと無く、承認をタップする。どうやら、討伐ポイントを使ってこの時間も短縮できるようだが、ヤスは7分間待つ選択をした。
その間、変わっていく神殿を見守っている。
神殿が劇的に・・・。変わっていない。
外観は殆ど変えないようだ。
エミリアのマルスアプリからの連続でメッセージが通知されている。ヤスは、もちろん読み飛ばしている。大事な事は、マルスかエミリアが教えてくれるだろうと考えているのだ。事実、大事な承認ごとはアプリから承認を求める画面が表示される。ヤスは、画面を確認して承認ボタンをタップしている。
内容を見ては居るが認識して考えているとは思えない。
マルスから神殿内部の構造に関する提案も有ったのだが、全部承認しただけだ。
「マルス。地下の改装も頼みたいけど大丈夫か?」
『どのようにしますか?』
「全部で5階層にできるか?」
『可能です』
「神殿には、俺しか入る事ができないのだよな?」
『はい。マスターと伴侶と永続奴隷だけです』
「うーん。なんとかならない?」
『”なんとか”とは?』
「居住区に入る事ができないのは、しょうがないとしても、地下施設には入ってもらわないと困るよな?ダーホスにコアの確認をしてもらう必要があるのだよな?」
『マスター。説明が足りませんでした。神殿は、2つに分かれています』
「2つ?」
『はい。1つは、居住区。こちらは、安全のために、マスターと伴侶と永続奴隷しか入る事ができません』
「あぁ」
『神殿区は、もともと地下に広がっている空間です。この部分は、マスターが許可すれば誰でも入る事ができます』
「それなら大丈夫か?それは、他の神殿でも同じなのか?」
『同じですが、コアの場所を隠す事や、コアを奪われないために、秘匿するのが一般的です』
「そうか・・・。そうだ!コア=マルスだとおもっていいのか?」
『間違いではありません。コアの機能は、マルスが乗っ取りました』
「ん?まぁいい。わかった、大丈夫なら、地下は5階層で、俺の知識を使って、ダンジョンっぽくしてくれ」
『かしこまりました。魔物はどういたしましょう?』
「必要ない。そうだ。マルスなら、車の幅はわかるよな?」
『はい』
「それなら、ダンジョンの道幅は、ディアナがトレーラーを引いていない状態で走れるサイズにしてくれ、入り口もサイズをあわせてくれ」
『了』
ヤスとマルスが話し込んでいる?状況でも、ディアナアプリのモンキーの出現は進んでいる。
残り時間は、1分を切っている。ヤスは、減っていくカウントをワクワクしながら見ている。
(5)(4)(3)(2)(1)(!!!)
(ん?)
ヤスは、カウントダウンが終了すれば目の前にカスタマイズしたモンキーが顕現すると考えていた。
エミリアが振動した。
ヤスが画面を確認すると、ディアナアプリからメッセージが表示されていた。
”出現場所を選択してください”
選択肢が表示されるのかと思って、見てみるが表示されているのは”+”の表示だけ・・・。
画面上に一覧で表示されているのを期待したのだが、まずは出現場所を作成する必要がありそうだ。
ヤスは、”+”をタップした。
(ふーん。駐車場の領域を確保して、そのどこに出現させるか・・・。ん?ディアナの場所も必要なのか?)
(そうか、普段は?ディアナアプリの中に入っていて、それを取り出す場所の設定をするという感じだな)
(そうなると、工房は神殿の中に作ったほうが良さそうだな。駐車場も同じように、神殿の中だな)
「マルス」
『はい』
「神殿だけど、少し訂正。2階層分を、駐車スペースと工房に設定」
『了』
『マスター。工房を作るには、討伐ポイントが不足しています』
「そうか・・・!!!そうだ、マルス!ディアナの自動操縦は可能だよな?」
『可能です。ただし、マスターの様に運転する事はできません』
「わかっている。それなら、神殿の内部に魔物を出現させて、ディアナで討伐したらどうだ?」
『計算中・・・・。マスターに残念なお知らせです。マスターが魔力を注入しない限り、討伐ポイントが増えません』
「ん?俺が魔力を提供すればいいのか?」
『はい。ただし、現状ディアナで安全に討伐できるのは、オーク種であると想定し計算を実行したところ、工房を作るまでに、2057日19時間42分必要です』
「はぁ?却下だ。その間、俺が魔力を提供し続けなければならないのだよな?」
『はい。現状居る魔物を討伐する事で、討伐ポイントを得る事ができます』
「ん?魔物は消したよな?」
『最初から居た魔物は、現在地下3階と地下4階に移動しています。これらは、討伐ポイントの対象になります』
「ディアナで倒せるのか?」
『不明です。ただし、全力でぶつかれば可能だと判断できます』
「わかった、少し保留する」
『わかりました』
「まずは、駐車スペースの確保。そうだな。駐車スペースは地下1階にしろ、工房用に地下2階を使えるようにしろ。地下3階と地下4階はダンジョンにして、地下5階はボス部屋とコアの部屋まで一本道にしろ。内装や様式は、俺の記憶を参照しろ」
『了』