いつまでも、そばにいると、思ってた

夜になって
部屋で寝転びながら
アルバイト情報誌を眺めていた。

両親ともこの世にはもういないし
大学に行くのにも奨学金をもらっているから、働かざるを得ない。

預金も底をついているから
すぐにでも働かなければならなかった。

さっきカップ麺一つを食べたが
まだ腹が減っていた。

テレビのないこの部屋の夜は
長く静かだ。

静かすぎると
空気が摩擦するような
空気が伸縮するような
不思議な音がする。

アルバイト情報誌を放り投げ
今日出会った女の子のことを
思い出していた。

天井は雨漏りをした後のシミが
地図のように広がっていた。

ATMの使い方もわからない、ポイントカードでお金を降ろそうとする、あんな天然なお嬢様初めて見た。

思い出して、一人でクスッと笑った。

それにしても
どうして初めて会った女の子に5万円も貸しちゃったんだろう……

後悔の気持ちが頭の中を駆け巡った。

「ぼくはバカだ〜!」

そう言って畳の上を転げ回った。

その時だった。

再び隣から女性の「キャー!」という叫び声が
静寂の膜を切り裂いて、聞こえた。

ぼくは驚いて思わず、畳から起き上がった。

そしてその後再びドンドンドン!と床を叩くような音が部屋中に響いた。

「ま、また〜…なんだよ」

胸が突然鼓動を早めた。

頭の中の想像では
チンピラがちょっとケバめな金髪女の髪をひっぱり殴っていた。

警察呼んだ方がいいかな……

しかしその晩も、それ以来叫び声も床を叩くような音もせず、静まり返っていた。

気味悪いな、なんだよ。

そしてぼくは次の日、その叫び声と音の正体を以外な仕方で知ることになった。