消えるアナウンス。
 一斉に点く照明。
 こちらを見つめる無数の瞳。
 張り詰めるような静寂。
 振り上げられる細い指揮棒。
 揃うブレスの音。

 煌めくベルが震えて。

 しまった、と思った。
 そう、思いはしたけれど。
 その時にはもう手遅れで。
 頭が真っ白になって。


 酷く間抜けな音が、ホール中に響き渡った。