テレパシーで律と会話をしていると、突然

「なっ、長尾は何位?」

と、律の逆隣にいた市川さんが、身を乗り出して俺に聞いてくる。


「えっ、嘘、二十四位!? アンタ、頭良かったの!?」

「何だよ、お前まで! どうせお前もおれのことおバカキャラだと思ってたんだろ!」

「そっ、そんなこと言ってないじゃない! 褒めてるんじゃない! 何よ、馬鹿!」


結局、馬鹿と言われてしまった。

何なんだ? まあ確かに、市川さんなりに褒めてくれたのかもしれないが。


急に褒めてきたり、かと思えばいつもみたいに馬鹿って言ってきたり。
相変わらず、何考えているのか分からない女子だな。


「そうだ。俺のことより、尚也を褒めた方がいいんじゃないのか?」


近藤 尚也 三位。

文武両道にもほどがあるだろ、と思う。

市川さんの考えていることは分からないことばかりだが、尚也に好意を持つのだけは同感出来る。


……しかし。


「……そうね」

市川さんの反応は思ったよりも薄く、ボソッとそう言われるのみだった。