「……い、一緒に行こうよ、長尾」

何故かピンポイントに俺を誘ってくる。

……何で俺?


「えーと……じゃあ、皆で行くか……」

「う、うんっ」

「?」


キャンプ以降、市川さんと律はよくつるむようになった。
律によると、お互いメイクやオシャレが好きなタイプだから趣味が合うらしい。勿論、村田さんとも。


そして律は、最近は学校で過ごすことが前よりずっと楽しいと、この前俺に伝えてくれた。

だから、俺は市川さんに感謝している。
市川さんのお陰で、律が楽しい毎日を送れているのだから。

いつだったか尚也が言っていた通り、男の俺より、同性の市川さん達が側にいた方が安心出来ることがあるだろうし。



しかしその一方で、キャンプが終わった頃から市川さんの俺への態度が、いまいちよく分からないことが増えた。
さっきみたいに、急に名指しで話し掛けられたり、返事しただけでやたら嬉しそうな顔されたり。