入学式から二週間が経った。


「達樹ぃ、昼飯食おー!」

いつも通りの元気なノリで、が両手に弁当の包みを持ったコーヤが俺に話しかけてくる。


「おう。あれ、尚也は今日パンなの?」

コーヤに頷きながら、俺はコーヤの後ろからやってきた尚也にそう問い掛ける。いつもは弁当なのに、今日はコンビニで買ったらしきパンを持っている。


「ああ。寝坊して弁当作る時間なかったから」

「えっ、毎朝自分で弁当作ってるのか? 凄いな」

俺の隣でコーヤも「マジ!? すっげー!」と騒ぐように盛り上がる。


高校に入学して、俺はこの二人、コーヤと尚也と仲良くなった。
俺達三人は、同じバスケ部に入部したことがきっかけで自然と仲良くなった。


コーヤは、地毛と言い張りながら髪を茶髪に染めていて、部活の時以外は左耳にピアスをつけている。少しチャラいところもあるけれど、明るくて面白い奴だ。

尚也は、バスケ部の先輩達に負けないくらいに背が高く、ガタイも良く、おまけに男の俺から見てもイケメンで、噂では女子にかなりモテるらしい。少しクールで、いつでも落ち着いてる。


二人とも良い奴なので、この二人と仲良くなったことで、高校生活はまあまあ楽しめている……と思う。


だけど、どんなに楽しくても、たとえば大口開けて両手叩いて笑ったりはしていけない気がしていた。



俺だけ楽しんで笑うことは、悪いことのような気がしていた。