呼びに来てくれた女子に連れられ、キャンプ場の裏の、車数台が停められる駐車スペースにやって来る。
市川さんや他の女子達は、既に楽しそうに花火を開始していて、すっかり暗くなった空間に、色とりどりの火花が散っていた。


「あ、尚也君、遅ーい!」

市川さんは早速尚也に近付き、周りも気にせず密着。積極的で凄いな、と素直に感心してしまう。それに動じない、クールで鈍感な尚也もまた別の意味で凄いと思ったが。


「……あれ?」

おかしいな。律の姿が見当たらない。

市川さんなら何か知ってるかと思い、俺は彼女に近寄り、
「なあ、律は?」
と質問する。


「あー、なんかねー。永倉さんは具合が悪くて来られないって」

「え、具合?」

「あ、でも部屋で寝てれば大丈夫って言ってた! さ、尚也君、早く花火やろー」

そう答えると、市川さんは尚也の腕を掴み、その場から離れていってしまった。


律、具合悪かったのか?
カレー食ってた時は元気そうだったけど……まさか俺の切った野菜がでかすぎて胃を痛めた……? いや、でも他の皆は平気そうだし。


「達樹ー、花火持ってきたよー」

コーヤが両手に花火をいくつか持って、俺の元へとやって来る。


「……ごめん。俺、ちょっと施設戻るわ」