何だよいきなり! とコーヤが反論しても、市川さんは「決まりねー」と言うのみ。


その上、

「あー、永倉さん戻ってきたー!」


ちょうどこのタイミングで教室に戻ってきた律に、声を掛けながら笑顔で駆け寄っていく。

突然の出来事に、教室の入り口で律は驚いた表情で固まるのみ。


……でも、まあ。


「永倉さん、うちら同じ班になったから、よろしくねー!」

市川さん達は明るく律に話し掛けている。

律も、戸惑いながらも少し嬉しそうに見える。



「要は尚也狙いってことだよね?」

俺の隣で、コーヤがボソッと呟く。
やっぱり、そういうことだよな?


「……でも、きっかけはなんであれ、これであの女子達が律と仲良くしてくれるのなら、良いことだよ」

「まあね」

「影響力強そうな女子達だし、あの二人が律と仲良くなってくれれば、他の女子達も律と仲良くなるかもしれない」


そう願わずにはいられなかった。

律を見ていると、市川さんは律に抱き付いたりしてまだじゃれているし、その隣にいる村田さんにも特に不満そうな様子はない。
きっかけはどうあれ、きっと大丈夫だろう。


こうして、再来週に控えた学年キャンプの班決めは無事に終わったのだった。