「律」

俺が声を掛けると、律はきょとんとした顔を俺に向ける。


……ただ誘うだけだし。緊張することないはずなのに、コーヤが頑張れとか変なこと言うから、少しドキドキしてしてしまっている。

ああ、くそ。意識するなって。いつも通り、いつも通り。


「あのさ、キャンプの班のことなんだけど、同じ班にならない?」

よし、言えた。
普通に言えたよな? 緊張して声上ずったりしてなかったよな。自然だったよな。


……のはずなのだが、律は何もリアクションせず、俺のことをただじっと見つめる。


……俺の誘い方、何か変だったか? まさか、迷惑だったとか?


すると律は、眉を下げて携帯の画面に文章を打ち始める。

そして、その画面を俺に見せてきた。
そこには、


【いいの? 私と同じ班になったらキャンプ楽しめなくなっちゃうかもしれないよ?】

と打たれていた。