残りの連休は、予定通りみっちりと部活一色だった。
ふたつ祈りのことは、とりあえず連休中はあれ以上調べる余裕もなく、あっという間に連休明けを迎えた。


「はあー、朝からキツー」

思わず溜め息が出そうになってしまうくらいに、今日の朝練はキツかった。うちのバスケ部は県内では強豪の部類だから練習量が多いのは当然なのだろうけど。


「もう地区予選始まるからなー。ベンチ入り確定してる尚也は、俺らより大変なんだろうなー」

下駄箱で上靴に履き替えながら、コーヤが言う。
確かに、一年生ながらレギュラーの座も近いと噂されている尚也は、今朝もギリギリまで先輩の練習に付き合っていたし、一年生エースとしてのプレッシャーもあるだろうから俺なんかよりずっと大変だろう。


そんなことを考えていると、後ろからツンツンと誰かに背中をつつかれる。

誰だ? と思いながら振り向くとそこにいたのは。


「律!」

律はにこ、と笑って俺をまっすぐに見つめると、ぱくぱくと小さく口元を動かした。
おはよう、と言っているように見えたので、俺も「おはよう」と返す。


……その直後、あることに気付き、俺は目を見開いた。

そこにいた律が、毎日学校で見ていた律とは少し違った……というより、中学時代の律に見えたのだ。

というのも。

「あれっ。永倉さん、今日いつもより何だか顔、可愛いね! あっ、スカートも短くなってる!」


……俺が言いたいことを、恥ずかしげもなくサラッと言ってしまうコーヤを内心賞賛すると共に、恨めしくもある。

そう。コーヤの言う通り、目の前の律は普段と違い少しだけ化粧をしていて、今までは膝が隠れていたスカート丈も数センチ上がっていた。
中学時代の、いつもオシャレに気を遣っていた律が再び現れたような、そんな気分になった。