さあどうぞ、と促されて入ったのは、八畳ほどの和室で、部屋の真ん中には木のテーブルが置かれていた。


「最近は、うちみたいな錆びれた神社に興味もってくれる若い子なんかいなくてね」

神主さんは熱々のお茶を二つ用意してくれた後、テーブルを挟んだ正面の座布団に腰をおろした。
神主さんの声は弾んでいる。
仕事の最中にこうして伺ってしまい迷惑を掛けているだろうなと思っていたから、歓迎されているのなら有難い。


「では、何が聞きたいのかな?」

「は、はい。あの、この神社って不思議な言い伝えがありますよね? それについて伺ってもよろしいですか?」


ふたつ祈りの不思議な言い伝え。
俺と律の間に生まれたテレパシー能力は、その言い伝えに関係ある可能性がある。
神主さんなら何か知っているかもしれない。有益な情報を聞き出したい。