鳥居を潜り、この間と同じ様に参道の端を歩いて神殿へ向かうと、神殿の前で神主さんが俺達を待っててくれていた。

「電話で連絡をくれていた生徒さんだね? どうぞどうぞ」

神主さんは、六十歳くらいのお爺さんだった。

今日、俺と律は、高校の課題でこの神社について調べたいので話を聞かせてください、と電話でお願いしてあったのだ。
神社の神主さんに嘘を吐くをなんて罰当たりにも程があるとは思うが、テレパシーのことなんて話しても信じてもらえないだろうし。どうか罰は当たりませんように。



「連休なのに課題があって大変だね。ここは暑いから、中に入ってゆっくりお話しようか」

神主さんは、そう言うと神殿の横にある、一軒家ほどの大きさの建物の方へと歩いていく。恐らく、客間用の建物だろう。


《ど、どうする? 適当に立ち話でふたつ祈りの話だけ聞くつもりだったのに》

《どうするもこうするも、ついていくしかないでしょ》

確かに、それはそうだ。
律は迷いない足取りで、神主さんの後を追い掛かるように歩いていく。
何か、律の方が俺より男らしいな……なんてことを思いながら、俺も後を追った。