その後、教室に戻った頃には律とのテレパシーが出来る時間は終わっていた。

教室に入ると、俺達は自然と自分達の席にそれぞれ着席した。席の並びは出席番号順なので、俺の席が律の席の二つ前。


「あ、達樹おはよー」

ちょうど、コーヤがいつものように明るく挨拶してくる。尚也も一緒だった。


「おう、おはよう」

「朝からどこ行ってたんだよ。鞄あるのに教室にいないなんてさー」

「あ、ああ。ちょっとな」

テレパシーのことはさすがに話せないから、そこは適当に誤魔化すことにした。


……だけど。


テレパシーについてはあまり人に話すようなことでもないと思うから黙っているけど、出来ることなら、それ以外のことではこの二人に嘘は吐きたくない。

嘘の自分で接したくない。

ありのままの自分でいたい。


……それでいいと、それがいいと、律が言ってくれたから――。



「……あのさ」

俺が口を開くと、コーヤと尚也が「ん?」と首を傾げて俺を見る。