「じゃあ、日程決めるか。いつ空いてる? つっても、俺しばらくは平日も休日も部活ばっかりだな」


《私はほとんどいつでも空いてるけど、出来れば休日の昼間がいいな。声が出なくなってから、帰るのが遅くなると親がすごく心配するの。過保護で恥ずかしいんだけど》


「恥ずかしくなんかないだろ、それは。寧ろ、親が心配するのは当然だ。

じゃあ、ちょっと先になるけど、ゴールデンウィークはどうだ? 連休もほとんど練習で埋まってるんだけど、初日だけは空いてるんだ」


《ゴールデンウィーク初日ね。オーケー。じゃあその日に一緒に神社に行きましょう》


そう答えると、律は携帯に何かを打ち始めた。
恐らく、スケジュールアプリにでもメモしているのだろう。

俺はそこまでマメじゃないから、頭の中にインプットするだけだ。
無理して覚えようとしなくても、律と出掛ける約束なんて、忘れようと思っても忘れられないだろうけど。



(いやいや、これじゃあ、約束が下心みたいだ)


律に気づかれない程度に、小さく首を横に振る。

そう、この約束は、純粋な調査の為。
それなのにこんな風に舞い上がり掛けるとか……これじゃあ、今でも律のことが好きみたいじゃないか。


動揺してしまった俺は、つい、いらないことを律に言ってしまう。


「その、あれだな! 二人きりで出かける約束なんて、中学生の時以来だな! 一回、休日に一緒に映画観たり買い物したことあったもんな!」


全て言い終わった瞬間に、全身が硬直する。
馬鹿か、俺は。だってあれは……手を繋いだりだとな告白したりだとかはなかったものの、どう思い返してもデートだったのだから。