踊り場に到着すると、予想通り辺りに人は誰もおらず、
「昨日のテレパシーのことだけどさ!」
と、早速話を切り出した。
しかも、抑えようとしていたのに、やや興奮気味になってしまった。
それに対して律は。
【でも、結局約十分間しか使えなかったわね。もう一度顔を合わせれば使えるようになるのかと思ったけど、そうでもないみたいだし。】
と、携帯の画面に打って、俺に見せてきた。
無機質な携帯画面を見るから余計にそう思うのかもしれないけれど、律は俺とは違って冷静だ。
今さっき、声高々に話を始めた自分が少し恥ずかしくなり、意図的に少しテンションを下げる。
「そ、そうだな。テレパシーのきっかけが本当にふたつ祈りだったのかとか、そのテレパシーはもう使えないのかとか、考えることは色々あるけど……やっぱり、どちらかというと後者が気になるよな」
テレパシー能力が完全に消えた訳ではないのなら、ぜひもう一度使ってみたい。
それは、未知なる超能力への純粋な好奇心からの気持ちでもあるけれどーー可能ならば律ともう一度会話がしたい、という気持ちもあった。
すると律は、少しの間、何かを考え込むように黙りこんだ後、
【それに関して、ちょっと試してみたいことがあるんだけど。】
と携帯の画面を見せてくる。
「試したいこと?」
と俺が首を傾げると。
突然、律が俺の左手を握ってきた。
「っ⁉︎」
突然のことにーーそして、素手と素手が直接触れ合うその感覚に、思わずドキッとする。顔が一気に赤くなったのが、自分でも分かってしまった。
り、律? 一体何を……?
すると、その時だった。
昨夜も体験した、頭の中にキーンという音が響く感覚がした。そしてその直後。
《達樹くん》
同じく頭の中に、律の声が響いてきた。
「律!」
目の前にいる相手の名前を、思わず大袈裟に呼んでしまう。
やっぱり、律みたいに冷静でいることなんて、俺には無理なのかもしれない。
でも、素直に嬉しかった!
そんな俺に、律はニコッと笑って。
《やっぱりね。予想通り。テレパシーの発動にはきっかけがあるんじゃないかっていう仮説を元に考えたら、もう一度一緒にふたつ祈りをすることか、もしくは手を繋ぐことじゃないかと思ったの。ほら、夕べも私が躓いた時に、一瞬手と手が触れ合ったでしょ?》
律の言葉に、俺は「なるほど」と返しながらも、実際は、もう一度律と会話ができた喜びで意識がいっぱいで、状況をしっかり理解し、考えることは出来ていなかった。
「昨日のテレパシーのことだけどさ!」
と、早速話を切り出した。
しかも、抑えようとしていたのに、やや興奮気味になってしまった。
それに対して律は。
【でも、結局約十分間しか使えなかったわね。もう一度顔を合わせれば使えるようになるのかと思ったけど、そうでもないみたいだし。】
と、携帯の画面に打って、俺に見せてきた。
無機質な携帯画面を見るから余計にそう思うのかもしれないけれど、律は俺とは違って冷静だ。
今さっき、声高々に話を始めた自分が少し恥ずかしくなり、意図的に少しテンションを下げる。
「そ、そうだな。テレパシーのきっかけが本当にふたつ祈りだったのかとか、そのテレパシーはもう使えないのかとか、考えることは色々あるけど……やっぱり、どちらかというと後者が気になるよな」
テレパシー能力が完全に消えた訳ではないのなら、ぜひもう一度使ってみたい。
それは、未知なる超能力への純粋な好奇心からの気持ちでもあるけれどーー可能ならば律ともう一度会話がしたい、という気持ちもあった。
すると律は、少しの間、何かを考え込むように黙りこんだ後、
【それに関して、ちょっと試してみたいことがあるんだけど。】
と携帯の画面を見せてくる。
「試したいこと?」
と俺が首を傾げると。
突然、律が俺の左手を握ってきた。
「っ⁉︎」
突然のことにーーそして、素手と素手が直接触れ合うその感覚に、思わずドキッとする。顔が一気に赤くなったのが、自分でも分かってしまった。
り、律? 一体何を……?
すると、その時だった。
昨夜も体験した、頭の中にキーンという音が響く感覚がした。そしてその直後。
《達樹くん》
同じく頭の中に、律の声が響いてきた。
「律!」
目の前にいる相手の名前を、思わず大袈裟に呼んでしまう。
やっぱり、律みたいに冷静でいることなんて、俺には無理なのかもしれない。
でも、素直に嬉しかった!
そんな俺に、律はニコッと笑って。
《やっぱりね。予想通り。テレパシーの発動にはきっかけがあるんじゃないかっていう仮説を元に考えたら、もう一度一緒にふたつ祈りをすることか、もしくは手を繋ぐことじゃないかと思ったの。ほら、夕べも私が躓いた時に、一瞬手と手が触れ合ったでしょ?》
律の言葉に、俺は「なるほど」と返しながらも、実際は、もう一度律と会話ができた喜びで意識がいっぱいで、状況をしっかり理解し、考えることは出来ていなかった。