「えーと、何?」

問い掛けると、律は鈴の緒を指差す。


「あ、一緒に、ってこと?」

当たりだったようで、律が首を縦に振った。


何で一緒に……? と思いながらも、俺も鈴の緒を律と一緒に掴み、鈴の音を鳴らした。


えーと、この後は確か、二礼二拍手だっけ。やり方にいまいち自信がないから、律の動きに何となく合わせてみる。


さて、お願いごとか。急に連れて来られたから何も考えてないんだけど……。

バスケがもっと上手くなりますように? 中間テストでそこそこの点数取れますように?

そこでふと、ふたつ祈りの言い伝えを思い出す。


……信じてる訳じゃない。だけど、せっかく律と一緒にいるんだから。


とはいえ、律が俺と同じ願いごとを神様に伝えるとは思えないけど。

それでも、一応。



ーー律とまた、仲良くなれますように。



変な意味じゃない。
付き合いたいとか、好きになってもらいたいとか、そういう訳じゃない。
俺だって律のことは〝あれ以来〟、もうそういう風に見るのはやめたんだし。



だけど、今日久し振りに律と一緒に過ごして、楽しかったから。



だから、ただ、なんとなく。