俺は、ずっと律の側にいたい。
律と会話していたい。
律の笑顔を見ていたい。

だから手話だって、当然覚える。



それでも。




「声出して会話するのは、やっぱり駄目なの?」

そんな風にも、聞いてしまって。




〝ごめんね。リハビリは終わってるんだけど、会話はなるべく今まで通り手話でするように言われていて〟


「そ、そうだよな。ごめんな」


〝でも〟



「え?」




〝一言だけ〟




律は、少し伸びた茶髪をふわりと風になびかせ、俺に一歩、近付く。

そして、喉に負担を掛けない為か、俺の耳元に唇を寄せーー



囁くように。




「好き」