……今の俺の側には、あの頃みたいに律がすぐ側にいない。触れ合うことも、笑い合うことも出来ない。



と言っても、音信不通って訳ではない。
毎日、とは言わないけれど、さほど寂しくならない頻度でメッセージをくれる。




律は、去年の冬、東京の大きな病院で喉の手術を受ける為、学校を休学した。
退学ではないのは安心したが、単位の関係で、一緒に二年生には進級出来なかった。


喉の手術というのは、人口声帯ってやつを喉に埋めこむ手術らしい。
その手術をすることで、律は再び、多少は言葉を話せるようになる、とのことだった。
といっても、声を出すことは律の喉にとっては負担が大きく、大きな声を出すことも、長時間話すことも出来ず、あくまで会話の基本は今後も手話らしいのだが。

だけど、いざという時に多少でも声を発することが出来るのは、律が自分自身を守る為にも必要であるということで、律の両親がその手術を勧めたらしい。