「シュート練、あと十セットー」

体育館に尚也の声が響く。


雪の降らなかった冬と、相変わらず桜が満開となった春はあっという間に過ぎた。

そして、当たり前だけれど俺達は二年生になっていた。


……いや。〝当たり前〟ではないか。



うちのバスケ部はそこそこ強いと地区内では評判なのだが、今年のインターハイ予選では、何と残念ながら初戦で敗退。
三年生の先輩は引退し、早くも俺達の代が部を引っ張っていくことになった。


新しいキャプテンは尚也。
そんな尚也の推薦で、俺が副キャプテンとなった。
真面目だし、周りをよく見てるから。尚也はそう言って、俺を副キャプテンに推薦してくれたのだった。
俺は人を引っ張っていく性格でもないから、あまり副キャプテンらしいことも出来ていないけれど、何とか頑張っている。ちなみに最近は身長が急にグンと伸び、何とあともう少しで百八十センチの大台だ。