それなりに人通りのある住宅街を抜けると、街灯が一気に減り、辺りは更に薄暗くなる。
この通りの脇にある神社を通り過ぎて、次の角を曲がれば大通りに出られる。
何だか本当に変質者が出てきそうだな、なんて思いながら、ひっそりと佇む神社を横切ろうとした、その時。
急に、律に制服のワイシャツの裾を引っ張られる。
「何?」
そう尋ねれば、律は神社の方を指差した。
「神社? 神社寄りたいの?」
俺の問い掛けに、律は首を縦に振る。
こんな時間に神社に何の用事があるというのか。神社の周りは灯りが全く無いから真っ暗だ。
でもまあ、断るのもかわいそうか。というより律のことだから、もし俺がここで断ったら、一人でも神社へ寄り道しそうだ。そうなったら律と一緒に帰っている意味がない。
――それに、俺ももう少し律と……。
「……別にいいぜ」
素っ気なくそう答えると、律はまた、一瞬だけ笑った--気がした。気のせいかもしれないけど。
律は俺に背を向けると、駆け足で石階段をのぼっていく。
「オイ、暗いから転ばないように気を付けろよ」
何だか保護者みたいなセリフを言いながら、俺も律に続いて階段を上がっていった。
この通りの脇にある神社を通り過ぎて、次の角を曲がれば大通りに出られる。
何だか本当に変質者が出てきそうだな、なんて思いながら、ひっそりと佇む神社を横切ろうとした、その時。
急に、律に制服のワイシャツの裾を引っ張られる。
「何?」
そう尋ねれば、律は神社の方を指差した。
「神社? 神社寄りたいの?」
俺の問い掛けに、律は首を縦に振る。
こんな時間に神社に何の用事があるというのか。神社の周りは灯りが全く無いから真っ暗だ。
でもまあ、断るのもかわいそうか。というより律のことだから、もし俺がここで断ったら、一人でも神社へ寄り道しそうだ。そうなったら律と一緒に帰っている意味がない。
――それに、俺ももう少し律と……。
「……別にいいぜ」
素っ気なくそう答えると、律はまた、一瞬だけ笑った--気がした。気のせいかもしれないけど。
律は俺に背を向けると、駆け足で石階段をのぼっていく。
「オイ、暗いから転ばないように気を付けろよ」
何だか保護者みたいなセリフを言いながら、俺も律に続いて階段を上がっていった。