「律って……」

《何?》


「声が出なくなる前から、俺のこと好きだった?」


俺がそう尋ねても、律は何も答えない。
しーん、とその場が静まり返り、俺は急に恥ずかしさがこみ上げてくる。


「ご、ごめん、今のなし!」

照れ隠しの小学生の様な発言をした後、俺はまさに照れ隠しであはは、と笑い始める。


律の伝えたい言葉が、綾さんと同じ言葉だとしたら。
そう考えたらついそんな考えが浮かんだのだけれど……どうやら違ったようだ。そりゃあそうか。


……そう、思ったのだけれど……。



「……そうだね」

律からは、意外過ぎる言葉が返ってきた。


俺は驚いて、目を丸くさせる。ついでに口もあんぐり開けて、かなり間抜けな顔をしてしまったと思う。
しかし律は至って冷静で。


《そんなに驚かなくてもいいじゃない。さっきだって、達樹君とまた仲良く話せるようになりたかった、って告白に近いこと言ったじゃない》

「う、うん、まあ」

動揺して、曖昧な返事をすることしか出来なかった。