「どういうこと?」
《声が出なくなってから、休日に友達と遊ぶことは殆どなくなっていたから。千花達とは家が遠いし。
あ、中学時代も誘ってくれる子はいたよ。でも、私から断っちゃってたの。自分に自信がなかったから。皆に気を遣わせちゃったら嫌だなって思って》
そう話す律の横顔は切な気。
律は俺が思っているよりもずっと〝声が出ない自分〟に苦しんでいるから、そう思ってしまうのもある意味納得した……。
とりあえず俺達は、駅の構内からいったん出る。
少し歩いた先に、シャッターが下りている店が立ち並ぶ通り沿いに出た。
この時間だからか、ひと気がなく落ち着いている。
ちょうどベンチがあったので、二人でそこに腰掛けて電車を待つことにした。
「そう言えば、綾さんとはテレパシー出来なくなったのに、俺達はまだ使えているよな」
話を逸らそうとした訳ではなく、純粋にそう思った。
しかしそれと同時に、テレパシーがまだ使えているその理由は、どこかで気付いている気もしていた。
《そうね》
律もそう答えるのみだった。
だけど律もやはりその理由を分かっている……そう感じた。
声を失った綾さんと律が、本当に伝えたい気持ちを伝える為に、神様がくれた奇跡。
このテレパシー能力のことを、綾さんはさっき、確かにそう言った。
綾さんが伝えたかった気持ちは、庄田さんに対する〝好き〟という言葉。
じゃあ、律が一番伝えたい気持ちはーー……?
《声が出なくなってから、休日に友達と遊ぶことは殆どなくなっていたから。千花達とは家が遠いし。
あ、中学時代も誘ってくれる子はいたよ。でも、私から断っちゃってたの。自分に自信がなかったから。皆に気を遣わせちゃったら嫌だなって思って》
そう話す律の横顔は切な気。
律は俺が思っているよりもずっと〝声が出ない自分〟に苦しんでいるから、そう思ってしまうのもある意味納得した……。
とりあえず俺達は、駅の構内からいったん出る。
少し歩いた先に、シャッターが下りている店が立ち並ぶ通り沿いに出た。
この時間だからか、ひと気がなく落ち着いている。
ちょうどベンチがあったので、二人でそこに腰掛けて電車を待つことにした。
「そう言えば、綾さんとはテレパシー出来なくなったのに、俺達はまだ使えているよな」
話を逸らそうとした訳ではなく、純粋にそう思った。
しかしそれと同時に、テレパシーがまだ使えているその理由は、どこかで気付いている気もしていた。
《そうね》
律もそう答えるのみだった。
だけど律もやはりその理由を分かっている……そう感じた。
声を失った綾さんと律が、本当に伝えたい気持ちを伝える為に、神様がくれた奇跡。
このテレパシー能力のことを、綾さんはさっき、確かにそう言った。
綾さんが伝えたかった気持ちは、庄田さんに対する〝好き〟という言葉。
じゃあ、律が一番伝えたい気持ちはーー……?

