「悪いな、こんな時間になっちまって」
夏とはいえ、完全に日が落ちて真っ暗になった。
庄田さんは、霊園へ来た時と同じように先頭を歩き、駅へ向かって歩きながら、後ろにいる俺たちにそう言った。
「そ、そんな。庄田さんが謝ることじゃ」
上手い言葉が見付からず、右手を顔の前でぶんぶんと左右に振る。
こんな時はなにを話せばいいのか、なんて誰かに問い掛けたとしても、正解なんてあるはずがない。
俺達はついさっきまで、亡くなった人と会話をしていたんだ。
だけど庄田さんは。
「このまま行けば、八時ジャストに来る電車に乗れると思う」
……何事もなかったかのように、普通に振る舞っている。

