《私、海くんとこんな風にまた話せて、とても嬉しいよ……》
透き通るようなその声に、庄田さんが「俺もだよ……」と答える。
すると綾さんは……。
《私さ、死ぬ数日前には言葉が話せる状態じゃなかったじゃない?》
その言葉に、庄田さんはきっと色んなことを思い出しながら、何度も頷いて「……ああ」と涙ぐむ声で答える。
《話せなくなってから、ずっと後悔してた。自分の言葉でちゃんと海くんに伝えたいことがあったのに、結局言えなかったから》
庄田さんは、今度は首をブンブンと強く横に振る。
「俺は、綾にたくさんのことを伝えてもらったよ。ありがとう、って何度も言ってくれた。お礼なんか、言わなくても良かったのに。俺が、お前の側にいたいだけだったのに」
ありがとうを何度も、という言葉を聞いて、綾さんは、生きているうちに庄田さんに感謝の気持ちをたくさん伝えたかったのかな、と思った。
たくさんの思い出をありがとう、最後の最後まで一緒いてくれてありがとう、そういう、感謝の気持ちを……。
その時の二人は一体どんな気持ちだったのだろうか。想像するだけで胸が苦しい。
けれど綾さんは。
《本当の本当に伝えたかったことはね、そうじゃなかったの》
その時、綾さんが庄田さんに対してふんわりと優しく微笑み掛ける光景が俺にも見えた気がした。
《恥ずかしくて、一回もちゃんと伝えられなかったから。
……好き、って》
透き通るようなその声に、庄田さんが「俺もだよ……」と答える。
すると綾さんは……。
《私さ、死ぬ数日前には言葉が話せる状態じゃなかったじゃない?》
その言葉に、庄田さんはきっと色んなことを思い出しながら、何度も頷いて「……ああ」と涙ぐむ声で答える。
《話せなくなってから、ずっと後悔してた。自分の言葉でちゃんと海くんに伝えたいことがあったのに、結局言えなかったから》
庄田さんは、今度は首をブンブンと強く横に振る。
「俺は、綾にたくさんのことを伝えてもらったよ。ありがとう、って何度も言ってくれた。お礼なんか、言わなくても良かったのに。俺が、お前の側にいたいだけだったのに」
ありがとうを何度も、という言葉を聞いて、綾さんは、生きているうちに庄田さんに感謝の気持ちをたくさん伝えたかったのかな、と思った。
たくさんの思い出をありがとう、最後の最後まで一緒いてくれてありがとう、そういう、感謝の気持ちを……。
その時の二人は一体どんな気持ちだったのだろうか。想像するだけで胸が苦しい。
けれど綾さんは。
《本当の本当に伝えたかったことはね、そうじゃなかったの》
その時、綾さんが庄田さんに対してふんわりと優しく微笑み掛ける光景が俺にも見えた気がした。
《恥ずかしくて、一回もちゃんと伝えられなかったから。
……好き、って》

