庄田さんの声が、微かに掠れる。
綾さんのことを思い出しているのかもしれない。
綾さんとの、笑い合って幸せだった日々を……。


綾さんと律は似てる、って、庄田さんは今言ってくれた。
でも、実際は全然違う。
律は、生きてる。生きてくれてる。

それだけで充分なはずなのに、俺は何で律を一度、自ら遠ざけてしまったんだろう……。

あの時の自分の過ちは、今まで何度も悔やんだし、自分自身を責めた。
律自身も、許してくれた。
だけど今、生と死ということを改めて考えて、涙が出てきた。

律が俺に視線を向けたのが分かった。
だけど律は気付かないフリをしてくれた。


その後庄田さんは、律がふたつ祈りの噂を作った理由を、綾さんに話してくれた。病気は完治したけど声が出せなくなり、苦しい思いをしていたから、と。