「綾。来たぞ」
とあるお墓の前で立ち止まると、想像していたよりも軽やかな口調で、庄田さんはそう言った。
目の前にあるこのお墓に、庄田さんの恋人である綾さんが眠っている。
「花とかなくてごめんな。それは明日持ってくるから」
お墓の前で、俺と律の一歩前で、庄田さんは綾さんへ話を始める。
「今日は、急に立ち寄ってみたんだ。さっき出会ったこの子達が、不思議なことを言うもんだから。
……あのな。ふたつ祈りの言い伝えは、そこにいる女の子が吐いた嘘だったんだって」
その言葉に、律がそっと顔を俯ける。
でも、庄田さんの話し方は律を責めるようなものではなく、もっと優しいものだった。
「綾の生きる希望になった言い伝えがただの作り話だったのは確かに残念だけど……この女の子……律ちゃんのことは責めないでやってくれよ。
律ちゃんも、綾と一緒で喉の病気だったんだって。病気は治ったけど、手術して声が出せなくなったんだって。綾とちょっと、似てるな」
とあるお墓の前で立ち止まると、想像していたよりも軽やかな口調で、庄田さんはそう言った。
目の前にあるこのお墓に、庄田さんの恋人である綾さんが眠っている。
「花とかなくてごめんな。それは明日持ってくるから」
お墓の前で、俺と律の一歩前で、庄田さんは綾さんへ話を始める。
「今日は、急に立ち寄ってみたんだ。さっき出会ったこの子達が、不思議なことを言うもんだから。
……あのな。ふたつ祈りの言い伝えは、そこにいる女の子が吐いた嘘だったんだって」
その言葉に、律がそっと顔を俯ける。
でも、庄田さんの話し方は律を責めるようなものではなく、もっと優しいものだった。
「綾の生きる希望になった言い伝えがただの作り話だったのは確かに残念だけど……この女の子……律ちゃんのことは責めないでやってくれよ。
律ちゃんも、綾と一緒で喉の病気だったんだって。病気は治ったけど、手術して声が出せなくなったんだって。綾とちょっと、似てるな」

