俺と律が庄田さんによって連れてこられたのは、そこから徒歩二十分ほどのところにある、霊園だった。
手入れの行き届いた広い霊園に、お墓が立ち並ぶ。
『綾に会ってってくれよ』という言葉の意味はすぐにわかったから、俺も律も何も言わずに、ただ、庄田さんについてきた。
「本当は、ここへは明日来る予定だったんだ」
霊園を真っ直ぐに歩きながら、庄田さんがそう言う。
「夏に亡くなった、って言ったろ。明日、命日なんだ」
庄田さんが俺達に向けた横顔は、笑っているけれど寂しそうで、俺は何も答えることが出来なかった。
恋人が亡くなるって、一体、どんな気持ちだったのだろう……。
律の声が失われた時、俺もショックを受けたけれどーー律は生きている。
生きている。隣にいてくれている。笑ってくれる……。

