この声、聞こえますか?

《……不安だったの。だから構ってほしかった》

律はぽつりぽつりと〝嘘を吐いた理由〟を話し始めてくれた。



中二の冬、律は声を失った。

中学時代は、律が学校に復帰してからも、クラスメイト達は誰も律のことを煙たがらなかったし、変わらずに仲良くしていた。

それは気のせいじゃなく、実際にそうだったと思う。
それでも、律は不安だったらしい。



《皆、私と普通に接してくれていたのに、私は心の中で、自分はいつ除け者になるんだろうって考えてた。
数人が集まって会話してると、私の悪口言ってるんじゃないかって思うようにもなった。
だって、私は声が出ないから。私って面倒臭い存在だろうなって悩んでた》